こんにちは。
東京都大田区で主に半導体製造装置の制御盤を製作している大迫電気のSです。
前回、パワー半導体の主な4つの働きと、大きく分けて3つの種類について書きました。
最後のほうで、社会の様々なところで電力の供給と制御に使われていることを書いたのですが、特に自動車では、エンジン出力の最適化を制御する燃料供給システムや吸気システム、バルブの開閉から、点火時期などを電子制御しています。
また、これらを動かすためのモータやアクチュエータの制御や、パワーウインドー等各電装機器の制御にもパワー半導体は使われています。
特に今後著しく増加が予想される、ハイブリット車や電気自動車では、モーター制御用にインバータが採用されていることもあり、パワー半導体への期待は大きくなってきています。
しかし、従来のパワー半導体は、Si(シリコン)を使用しており、その性能も理論的には限界に近付いてきています。
そこで、現在最も期待されているのが、SIC(炭化ケイ素)とGaN(窒化ガリウム)の2種類の半導体素材です。
SICは、SIに比べて電力損失を70%~90%削減できると予想され、更に1KV以上の高耐圧に耐えられることから、前述の自動車産業をはじめ、電力、鉄道、工場などが研究を進めています。
また、GaNは、200~1KV程度の耐圧ですが、高周波対応が可能という特性があるので、デジタル家電の回路に適しているとされています。
現在では、規模が小さいながらも様々な性能の高い製品が実用化されてきていますが、SIC,GaNのウエハーの製造コストが高いという課題が残されています。
しかし、この課題を解決できれば、私達の生活する社会もパワー半導体によって大きく変化していくかもしれません。